月、満ちる夜に
 
 こちらを見る眼差しはその顔立ちに似合わぬほど鋭いもので。


 けれどそこにはひとつの違和感がある。


 あれ?


 右目が――?


 わたしが彼を見つめていたのは、ほんの僅かな時に過ぎなかった。


 ふつりと意識が途切れ、わたしは机になつく前に派手な音を立てて倒れてしまったのだった。



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