涙雨
「じゃあ行ってくるわ」
いつもなら寝ている時間なのにあたしより早く起きていた。
悠も父親のお金ばかりに頼るのは嫌でバイトを始めた。
「行ってらっしゃい。気をつけてね」
おう。と返事をすると悠は家を出て行った。
あたしも身体の向きを鏡に戻して髪を束ね直す。
悠が出て行ってから、ほんの10分ほど後にあたしも家を出てバイトに向かう。
9時から3時までガソリンスタンドのバイトで5時からは居酒屋のバイトだ。
外に出ると息が白い煙となって空中に消える。
マフラーを口元まで上げて早足でバイトに向かった。