地味子×学年王子様~甘い学園物語~
だから、今登校した時だって
「きゃ~、苺鈴様よっ!」
「今日も美人な方だ...」
などとあちこちから騒がれる。
でも、別に嬉しくはない。
むしろ、迷惑…かもしれない。
昔から、目立つのは嫌いだったから、こういうのは逆に迷惑と感じる。
「あ、苺鈴~!」
その時、背後から明るい声が聞こえた。
振り返ると、黒いセダンが通り過ぎて行くのを確認した。
「おはよ~!」
明るく声を掛けてくれたこの子は、一番の親友、藤島朱里(フジシマアカリ)。
最初に会ったのは…いつ頃かわからないけど、物心ついた時からずっと一緒の、腐れ縁だ。
朱里と私のお父さん同士が、幼なじみだった影響が、一番あるのかもしれない。
朱里のお父さんは、大手企業である、藤島グループのお偉いさん。
だから勿論、朱里も私と同じように騒ぎ立てられる。
でも、朱里は別に、迷惑とは思っていないらしい。
逆に、嬉しい訳でもなく。
…特に何にも感じない、らしい。