【完】午後7時のシンデレラ
唇にブラシがあてられ丁寧に塗られ、仕上げのグロスが唇にのる。
「...はい。かんせーい!」
鏡に映るわたしの姿は、まさに藤井 志保そのものだった。
信じられず自分の頬に触れると、鏡の前の姿も頬に触れている。
クラスの男子が似ているって言ってくれたけど、本当にそっくりだったんだ。
「うん。わたしもまだまだ高校生としていけそうね。
マネージャーに言っとこ」
藤井さんもまた髪を二つ結びにし、ナチュラルメイクを施す。
「メイクってこんなに変わるんだ」
今までしたことがなかったから実感がわかない。
足のサイズもお互い同じで、彼女のブーツもきちんと入った。
普段なら絶対にしないコーディネート。
ものすごく大人っぽい。
「気に入った?」
満足そうに尋ねる藤井さんの声でハッと我にかえる。
自分に見とれるなんて、恥ずかしすぎる。