【完】午後7時のシンデレラ
「てか部活!!」
棚の上に置いていたケータイを見ると、時刻はとっくに練習開始を過ぎている。
何件もの着信や連絡に、締められると顔が引きつる。
「藤井さん、わたしやっぱり...ん?」
顔を上げて彼女の名前を呼ぶ。
が、彼女の姿はどこにもない。
キョロキョロと見回すと、彼女の黒い革のリュックが置いてある。
その上に一枚の走り書きのメモ。
『ごめーんね。
今日の撮影まで、藤井 志保としてよろしくお願いします』
いくつものハートで可愛らしく描かれたメッセージ。