【完】午後7時のシンデレラ
2
「全く、何考えてんだ!撮影前にいなくなるなんて...
聞いてるのか志保!」
すいません、全く耳に入りません。
そう答えたくても、彼がまとうマジギレオーラに敵わない。
なんで藤井さん、逃げ出しちゃうのよーっ。
心の中で叫んでも、どうしようもならない。
マネージャーさんらしき人に、引きずられるようにして着いた場所。
こんな張り詰めた空気じゃなかったら、のんびりと海を眺められそうな公園だった。
今日は天気がいいので、子供たちが遊んでいたり、犬を散歩する人、またカップルの姿も見える。
「申し訳ありません。ご迷惑をおかけいたしました」
マネージャーさんはそこで待っていたスタッフさんに頭を下げる。
小声で「志保っ」と怒鳴られ、わたしも頭を下げる。