【完】午後7時のシンデレラ



ここって本当にモデルの世界なんだ。

レフ板を持つ人や、カメラを覗いて微調整する人。



「あれ、志保ちゃん」



撮影風景に見入っていると、スタイリストさんの声に引き戻される。


前を向いた瞬間、鏡越しに彼女と目が合う。


徐々に彼女がわたしの顔に近づく。



心臓がばくばくと大きく鳴る。


「何、ですか...?」


ばれた?

藤井 志保じゃないって...。


すると彼女は、きゃはっと明るく笑う。



「太った?」


< 25 / 78 >

この作品をシェア

pagetop