【完】午後7時のシンデレラ
ここって本当にモデルの世界なんだ。
レフ板を持つ人や、カメラを覗いて微調整する人。
「あれ、志保ちゃん」
撮影風景に見入っていると、スタイリストさんの声に引き戻される。
前を向いた瞬間、鏡越しに彼女と目が合う。
徐々に彼女がわたしの顔に近づく。
心臓がばくばくと大きく鳴る。
「何、ですか...?」
ばれた?
藤井 志保じゃないって...。
すると彼女は、きゃはっと明るく笑う。
「太った?」