【完】午後7時のシンデレラ
「よし。じゃあ、撮影始めるか」
先ほどのスタッフさんとは違う、口の周りにヒゲを生やしたおじさんが口を開く。
彼の言葉にまた心臓が跳ねる。
本当にいいのかな。
偽物のわたしが、写真を撮られても。
罪悪感ゆえに躊躇する。
やっぱり、本当のことを言うべきだよね。
覚悟をして前を向く。
「———おっし。じゃ、お前いけっ」
ヒゲのカメラマンさんが隣の男性の背中を押す。
「おっ、わっ」
バシッと叩かれ、威力に負けた彼は前のめりになってつまずいた。