【完】午後7時のシンデレラ
とっさに一歩前に出て彼を支えると、若干の重みが肩にかかった。
「あっ、すみません」
低くはっきりとした声が耳元にかかる。
控えめにわたしを見つめる視線。
黒の短めの髪に、ニキビ一つない綺麗な肌。
無愛想で、嫌そうな瞳が印象的。
ちょっと雰囲気が怖いけど、胸がキュンとなるほどの整った顔をしておられる。
少なくともわたしの高校には、こんなかっこいい人いないだろう。
「つーか、親父!急にとばすな!」
すぐに彼はわたしから離れ、親父と呼んだヒゲのカメラマンさんに怒鳴る。
「なーに言ってんだ。お前が今日の志保ちゃんの彼氏役なんだからなー」
「はあ?!」
「ええっ?!」
のんびりとした口調に、わたしと彼の声が重なる。