【完】午後7時のシンデレラ
彼氏役の子だって撮影が終わった途端、微笑んでもくれない。
招集がかかり、一同に集まる。
「今日は藤井ちゃんが相当緊張しているそうなので」
ヒゲのカメラマンさんの言葉に、みんなの視線がわたしに集まる。
申し訳なくて肩を縮こめる。
隣に立つ彼氏役の男の子の視線が痛い。
「これから恭弥[キョウヤ]と二人きりで、撮影してもらいます」
「うぃす」と周りのみんなは、口々に了解の意を伝える。
え? え?
状況を把握できず、リーダーカメラマンさんを見る。
「リラックスしてデートするには、恭弥と二人きりの方がいいでしょ?」
キョウヤ、とは彼のことかな。
ちらりと視線を送る。