【完】午後7時のシンデレラ
「果敢に乗り込む姿が潔くて、綺麗だった」
真剣な目でわたしを見つめる。
綺麗、ってうそ...。
一気に顔が熱を帯びるのがわかる。
「そう思ったらシャッターを切る手が止まんなくて」
「殺陣でもやってたの?」という彼の問いに、思わず
「わたしぶか———」
さらりと部活のことを口にしそうになる。
「ぶか?」
「ううんっ、たて、殺陣でちょっとね」
「ふーん?」
あっぶない。
藤井 志保は20代。
学生じゃないから、部活なんてしてないよね。
彼の”綺麗”という言葉に、舞い上がってしまう。
「でも、あんな危ないこと二度とするなよ」
控えめにわたしの頭をなでる手は、ものすごく優しい。