【完】午後7時のシンデレラ
チケットは経費で降りるから、とお金を出すのは断られた。
恭弥くんのお財布から出してたみたいだけど...。
大丈夫かな。
特集では、わたしは公園デートからの水族館のコースみたい。
館内はすでに夜の展示物に切り替わっている。
暗い照明の中、水槽の鮮やかな青が映える。
「きれい...」
水槽にゆっくり手で触れる。
「ねっ、恭弥くん」
彼にもこの感動を味わってもらいたくて、振り向いて彼の名前を呼ぶ。
「なに?」
そのままパシャリとシャッターを切る。
カメラから顔を離して、わたしの隣に立つ。
「きれい、だよって」
「ほんとだ...写真撮ってもいいかな」
大量のイワシの群れが、ライトアップされキラキラと輝く。
ファインダーを覗く彼の横顔は真剣で、仕事に真摯に向き合っていることがわかる。
「ん?」
「っ、いや、この水槽の構造、どうなってるんだろうね〜」
「そこ?」