【完】午後7時のシンデレラ
ドライバを取り出して、ペンギンの背中を開ける。
「ああ、歯車がかみ合ってないみたい」
よく見れば、プラスチックの歯車がズレている。
ちょいと手直しをして、また元の状態に戻す。
「はいっ、ネジ回してみて」
男の子に手渡し、ちゃんと動くかどうかドキドキする。
男の子は半信半疑な様子で、少しネジを回す。
するとペンギンはよちよちと歩き出し、毛並みのいい体を左右に揺らしながら歩き出した。
「うわああっ、うごいたっ!うごいたよ、まま!」
「あらほんと!よかったねぇ〜」
男の子は動いたことにとても興奮している。
キラキラしたまんまるお目々が、わたしに向けられる。
「ありがとう、おねーちゃん。おいしゃさんみたいだね!」
満面の笑みにこっちまで笑顔になる。
お母さんに手を引かれて帰る男の子に、笑顔で手を振って見送る。