【完】午後7時のシンデレラ
圭史の下品な言葉に、わたしはぷるぷると肩を震わせる。
「急に下ネタぶっこむなーっ!」
「うぐっ...ボクはただフォローしただけ...」
ドスっと一発、圭史のみぞおちに拳を入れる。
崩れ落ちる彼に冷たい視線を浴びせる。
「そーだぞ圭史!
俺の直に触ってんじゃねーっ」
「あんたの物になった記憶ないわっ」
こういうくだらないことばっかり言う男子高生に囲まれるのが、わたしの日常です。
はあと重たいため息をついて、ローファーを靴箱に入れてそのまま3階のロッカーへ向かう。
この高校は基本移動教室なので一人一つ、縦長のロッカーの使用が許可されている。
固定教室はあるけど朝と終わりのホームルームしか使わない。
だから廊下にあるロッカーに荷物をぶち込み鍵をかけて移動するの。
このロッカー4月に使用が始まり、わたしのように工具やツナギを入れて定期的に掃除する者もいれば。
購買のパンを溜め込んだり、体育のシューズを放置したりと不衛生な者もいる。
「直がナンパねえ。俺なら絶対ねえわ」
「それな。理想の女と違うよな」
もう、まだぐちぐち言ってる!
鉄拳をお見舞いしようかと、拳に力をいれる。