【完】午後7時のシンデレラ
「なあっ、おい...」
彼の制止する声を捨てて、ただ走った。
慣れないブーツだけど、必死に、必死に走った。
幸い、藤井さんとの待ち合わせの公園は走ってもいける距離。
公園に着くと、そこにはすでに藤井さんの姿があった。
わたしの制服姿ではなく、ちゃんとした私服で。
「あっ、ごめんね〜っ!撮影無事に終わった?」
心配そうにわたしの顔を覗き込む。
その表情は、藤井 志保そのもの。
入れ替わったって、彼女はちっともわたしになんか似てない。
「はい。無事に終わりましたよ」
「あーっ、よかったーっ。あっ、制服ありがとね。
シワになったら申し訳ないから、服買っちゃった」
大きめの紙袋を受け取り、中を見ると制服はきちんと畳まれていた。