【完】午後7時のシンデレラ



「あ、じゃあ服...」


返さなきゃ、と女子トイレへと方向を変える。


「いいのいいのっ。それプレゼント」


「わたしが一回きちゃったけど」とお茶目に微笑む彼女。



「そんなっ、受け取れません!

こんな高そうなもの...」



両手を振って断る。

そんなわたしを、彼女はビシッと片手で制す。



「いいのっ。とんでもないこと引き受けてもらっちゃったし。

騙してごめんね。撮影まで引き受けてもらっちゃって、心苦しかったでしょう」



深々と頭を下げる姿からは、きちんとした誠意が伝わる。


そんな姿みたら、怒るに怒れないよ。


それに怒りなんてないもん。


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