【完】午後7時のシンデレラ
「顔をあげてください」
彼女に呼びかけ、わたしはニコッと笑顔を向ける。
「今日はすごく楽しかったです。
いい経験をさせてもらいました」
「ほんと? よかった」
「一人で帰れる?」
と藤井さんに心配されつつも、彼女を見送る。
そうやって、1日は終わった。
家に帰って化粧を落とすと、鏡の中にはわたしがいた。
藤井 志保みたいに、顔も小さくなくて。
目もあの可愛らしい猫目じゃない。
もう、恭弥くんの隣にもいられない。