【完】午後7時のシンデレラ
「なーおっ。ほら」
ずい、と焼きそばパンが目の前に現れる。
「勇人...ありがと」
笑顔の彼からパンを受け取ると、彼は隣の椅子に座った。
彼は口の中に詰め込むようにして、クリームパンを平らげるとおもむろに口を開いた。
「ほま、なんかあっひゃか?」
「ほま、て...」
もぐもぐと口を動かしながら話すものだから、聞き取るのにも苦労する。
「この2週間、ため息ついてばっかだし」
ごくんと飲み込むと、勇人はまた話し出した。
2週間。
わたしが藤井さんの代わりを務めてから、経った日にち。
連絡の交換すらしてないから、当然なんの連絡もない。
それに、あの日恭弥くんからもらった髪飾りも家に着くとなくなっていた。
綺麗さっぱり、魔法のように消えていた。