【完】午後7時のシンデレラ
「いや、ちげえよ!あそこだよ、あそこ!」
血相を変えて、ある一点を指さす。
ぞろぞろと周りの男子は窓に近づく。
「うぉぉおおおお?!」
「なんで?! なんで女が立ってんだ!」
「しかも美女だ」
視力2.0のとある男子が冷静に答える。
わたしも周りの空気に呑まれ、窓から覗く。
白のプリーツスカートがゆらゆらと揺れている。
にこりと微笑み、形の良い白い歯がのぞいている。
「あ」と短く五十音の先頭を発する。
「ちょっと待って。
藤井 志保じゃない?」
圭史の言葉に、視線が一気に彼女へと集まる。