【完】午後7時のシンデレラ
「また撮影が一緒のときはよろしくお願いします」
「なあっ、おい!」
足早で去る彼女を追いかけても、追いつけなかった。
「んだよ...足早すぎ。
あれ、これ...」
ふと目線を落とした先には、あの星の髪飾りが落ちていた。
捨てられたのか。
そうだよな。人気モデルがカメラアシスタントなんて気にかけないよな。
そっと拾った髪飾りは夜風に触れて、とても冷たくなっていた。
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「藤井さん入りまーす!」
撮影のために訪れたログハウスいっぱいに、スタッフの声が響く。
「おはようございます」
キラキラと輝く笑顔を振りまく彼女は、あのときと少し違うように感じた。
...気のせいか。