【完】午後7時のシンデレラ
「...あのさ、直ちゃん」
「気安く名前で呼んでんじゃねえぞ!」
「...確かに初めてのデートで緊張するだろうから、友達呼んでいいって言ったけどさ。なんで俺、睨まれてるのかな」
「今日はおじさんのおごりなんだよね。じゃあとりあえずこのセットで...」
「もうっ、勇人に圭史おとなしくしててよ!」
やっと会えて、デートにまでこぎつけたのに。
学校から連れ出してしまったから送ると、その光景をこの二人の男子高生に見られてしまっていた。
「僕ら高校生だし、優しくしてくれるよね」
「だよな、おじさん」
「君ら本当にいい根性してるよね。
あ、直ちゃん、口についてる」
カプチーノの泡が口元についていたので、そっと紙ナプキンで拭う。
「あっ、あっあ...」
途端にリンゴのように赤く染まる顔がなんとも愛らしい。
「おい、おっさんセクハラしてんじゃねえぞ!」
「違う違う、そんなつもりじゃ!」
彼女とのお付き合いにはまだまだ、高い壁がありそうだ。
【おわり】