【完】午後7時のシンデレラ



「そーだよ褒めすぎ」

「え」


そんなわたしの笑みをよそに、不機嫌そうな顔で圭史はバッサリと切り捨てる。


「俺、藤井 志保の大ファンだから簡単に似てるって言われるとなあ。

でも、かわいいは作れる時代だから、直ちゃんもメイクしたらきっとかわいいよ」


「え」


それ、全然褒めてないよね。

メイクしたら?したらって何。


「そうだよなー。初日にオイルかぶった女だもんな」


同調して、周りの男子はケラケラと笑う。


確かに。わたしは入学早々の学校案内に実習室でこけ、オイルをもろにかぶったのだ。


制服だったせいもあり、それからしばらくはきついオイルの臭いと付き合う羽目になった忌まわしい記憶。


その光景や臭いが特徴的だったせいか、今でもこうしてからかわれるのだ。


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