桜の約束
出会い
「んー、まださすがに咲いてないか…」
高校1年生の3月、
学校帰りに久々に来てみたのは大きな桜の木の下。
時期が少し早かったらしく花はまだ咲いていない。
「中学の頃はよく来てたなぁ…」
よくここで授業をさぼって過ごしたものだ。
日当たりがよく、お昼寝にピッタリの場所。
それに、こんなに桜が綺麗な場所なのに
この場所を知っている人は少なく1人になれる。
春のさぼり場所には丁度よかった。
しかし高校生になってからは勉強が忙しく、授業をさぼっている余裕なんてものはなかった。
俺も、もうすぐ高校2年生か…。
早いなぁと感じる。
1人でゆっくりと過ごせる……はずの場所に
今日は誰かいる。
あれ…今まで誰にも会ったことないんだけどな…。
同じ年くらいの女の子が木の下で寝ていた。
しかもその子は入院用の服を着ている…。
この近くの病院に入院している子かな?
……まさか病院から抜け出してきたんじゃ…。
少し近くに行ってみる。
「んー……、誰…?」
目を覚ましたようだ。