青いブレスレット-Second-
部屋の襖がバーンと開く音がする。



みんなが一斉に振り向いた。



みんなビックリしている。

水原くんも。



わたしは……固まった。



そこに立っていたのは、笑顔の七海ちゃん、そして恐らく、ひなのちゃん。



「え、お前ら、欠席って言ってたじゃん」


篠原くんが二人に声をかける。


「ああ学校の用事ね、なんか先生が都合悪くなって延期になったから、来れることになったの!ほら、お土産も持ってきたし、仲間に入れて!」



みんなビックリしていたが、徐々に笑顔になっていく。



「こっち座んなよー!」

「二人とも何飲む!?」



チラッと女の子たちを見ると、わたしを見て気まずそうな顔をしている。


一人の子が、わたしに耳打ちした。



「あの二人ね、すごい仲良いの。それでね、ちょっと無神経なとこあるけど、気にしちゃダメだよ?」



…無神経なとこ?


それって……。



「あー!紗奈ちゃんだ!!」


七海ちゃんが大きい声で言う。

そしてこっちに寄ってくる。



「ひなの!この子がさっき話した紗奈ちゃんだよ!」

「へー!この子が?」


ひなのちゃんもこっちに来る。



「透、久しぶり!元気だった?」


ひなのちゃんが水原くんに声をかけた。



本物のひなのちゃんは…やっぱり可愛かった。



「ああ桜井、久しぶり」



水原くんはあっさりしてる。


わたしが動揺してるのが馬鹿らしくなるくらい。



「透!一緒に飲もーよ!」


七海ちゃんが水原くんの腕に自分の腕を絡めて引っ張る。



「え?なんで?」

「なんでって、同窓会じゃん!中学の思い出でも話そうよー!」


ひなのちゃんも水原くんの手首を引っ張る。



大半の人は気まずそうな顔で見てる。


でも、お酒を飲んで酔った人たちは…。



「水原〜!早くこっち来いよ〜!」

「あ〜、俺らがそっち行けばいいんじゃね?」


数人が、こっちにお酒を持ってやってきて、水原くんを囲んだ。



わたしはあまりの強引さに、思わず水原くんと距離を取っちゃった。


それでも嫌で、立ち上がった。



「さ、紗奈ちゃん?」

「わたし、ちょっとトイレ行ってくるね」


心配そうな女の子たちをよそに、わたしは部屋を抜けた。

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