青いブレスレット-Second-

お酒

気づいたら、わたしは二人から水原くんを引き離していた。


水原くんの腕を引っ張って。




…しまった。


やってしまった……?



「…なにすんの?」


ひなのちゃんがこっちを見る。

…こわい。


七海ちゃんも目を覚ました。

状況は理解できてないっぽい。



どうしよう、何か言い訳…。



「水原くん!さっきトイレ行きたいって言ってたじゃんね!行きなよ!」

「え?」

「もう我慢できないころかなーって!ほら、早く!」


無茶苦茶な言い訳。


でも、水原くんは察してくれたみたいで、部屋を出た。

大輔くんが追いかけていった。


わたしは極力ニコニコしながら、見送った。



「…紗奈ちゃ〜ん」


振り向くと、ひなのちゃんが笑顔でこっちを見ていた。


…めちゃくちゃこわい。




「ね、紗奈ちゃん、ゲームしない?」

「え、ゲーム?」

「そう、サイコロゲーム!」


…サイコロゲーム?

なにそれ???



「お!サイコロゲームやるかー!?」


輪になってお酒を飲んでた人たちが盛り上がり始めた。



「サイコロゲームって、なに?」

聞くと、ひなのちゃんはカバンからサイコロを一つ出した。


「みんな順番に、一回ずつサイコロを振っていって、目が一番小さかった人がコップ一杯一気飲みするの。数が同じだっ
たらサドンデス。分かった?」


分かったけど、これ…。

なんのメリットもないんじゃ……!?


高校生なのにこんなことして、大丈夫なの!?


あんまりやりたくない。


「あの、わたしはやめ…」

「紗奈ちゃんもやるってー!やる人は集まって!」


10人集まって、輪になった。



「酒はこれね!あたしのお土産!」


ひなのちゃんが紙袋から黒いビンを出した。


たぶん焼酎だけど、かなりきつそう…。



どうしよう、こわい………!



「んじゃあたしから振るね!…4!」


ひなのちゃんはわたしにサイコロを渡した。

恐る恐る振ってみる。


…5。


よかった、ホッとした。



隣の男の子に渡す。



「あー!1だー!!!」


結局1を出したのはその男の子だけだった。



「トモヤねー!はい飲んでー!」


トモヤと呼ばれた男の子がコップ一杯のお酒を一気に飲んだ。

平気そうだけど、さっきより顔が赤くなった。



なんとかわたしは大きい数字で逃げていた。


だけど…。
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