これが俺の生きる意味
勢いよく扉を開けると、目の前には、フェンスの向こう側に希がいた。

「希!」

自分でもびっくりするくらい不安と、怒りと、焦りが混じった声。

希は俺を見るなり、

「唯斗、ごめんね。」

そう言った。

背筋がすうっと凍っていった。

何を言っているんだ?

怖くて、何も言えなかった。

何かを言った瞬間に、希が目の前から消える気がして。

死ぬな。

行っちゃダメだ。

心の中では叫んでいるのに、声にはならずに、ずっとそこに突っ立っていた。

彼女の髪がなびいて、一滴の涙が頬を伝っているのが見えた。


「...好きだ。好きだ、好きだ、好きだ、希が、好きだ。」


その言葉だけが溢れて、溢れて、とまらない。

そうして、俺は膝から崩れ落ちて涙が止まらなくなった。
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