203号室
私を慕ってくれていて、弟みたいで可愛い子だ。

「うん!間違いなし!大谷さんの所に行くんだね?」
「はい!大谷さんの点滴そろそろ終わりそうだったんで!それじゃ、変えに行ってきます!」
「行ってらっしゃい!」


何人もの人を看るのは凄く大変な事で、最初は病室を間違えてばかりだった。
だが1年も経てば覚えるもので、すっかり後輩に指示を出せるようになった。


「未早!あのカルテ書いた?」
「あぁ〜!?途中でしたぁ〜!!」


と慌ててカルテを出し、書き始めるこの子は、この子も1つ下の片山未早。未早はのろのろしててどんくさい子だ。
でもそれが癒やしで憎めない性格だった。


「先輩!知ってます?203号室…出るらしいですよ〜っ」
「出るって…何が?」
「何がって…幽霊に決まってるじゃないですかぁっ!!」
「幽霊?そりゃあ病院だから出るんじゃない?」


と私は半ば呆れながら聞いていた。
幽霊って…そりゃ病院なんだから出てもおかしくないんじゃない??
と思いまた未早に言おうとした時、あたしはふと思った。


「そういえば…和樹…203号室の大谷さんの所に点滴の薬、変えに行ったけど…」
「えぇ〜?!やばいですよぉ!っていうか203号室に入った人は…不思議なことに体の全ての血が抜き取られて死んでいたそうですよぉ〜…こわぁー…」
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