ディスオーダーⅡ【短編集】
「そうみたいだよ、母さん。また、いつもの区域だけ、雨が降っていない」
キッチンにいる母さんの方を見ないまま、僕は目の前の事実を淡々と答えた。
「そうなの……。一体なんなのかしらねぇ? 本当に気味が悪いわ……」
ぽつり、呟くように言う母さん。
本当にね。本当に、気味が悪い。きっちりとそこだけ、雨が降らない。見下ろせば草木は生えていないし、見上げればそこだけ雲が無い。こんなこと、今まで無かった。
──でも、同時に興味がある。
どうしてそこだけ雨が降らないのか、草木が生えないのか、雲が無いのか。何が原因でそうなったのか、誰かのせいでそうなったのか。……興味が、ある。
晴れている時は草木は生えていないままだけれど、雲はなんの抵抗もなく優雅に流れている。つまり、雨の時のみ、不思議な現象は起こっている。
……いっそのこと、雨が降っている今まさにこの瞬間、その区域に足を踏み入れてしまおうか?
キッチンにいる母さんの方を見ないまま、僕は目の前の事実を淡々と答えた。
「そうなの……。一体なんなのかしらねぇ? 本当に気味が悪いわ……」
ぽつり、呟くように言う母さん。
本当にね。本当に、気味が悪い。きっちりとそこだけ、雨が降らない。見下ろせば草木は生えていないし、見上げればそこだけ雲が無い。こんなこと、今まで無かった。
──でも、同時に興味がある。
どうしてそこだけ雨が降らないのか、草木が生えないのか、雲が無いのか。何が原因でそうなったのか、誰かのせいでそうなったのか。……興味が、ある。
晴れている時は草木は生えていないままだけれど、雲はなんの抵抗もなく優雅に流れている。つまり、雨の時のみ、不思議な現象は起こっている。
……いっそのこと、雨が降っている今まさにこの瞬間、その区域に足を踏み入れてしまおうか?