ディスオーダーⅡ【短編集】
一歩一歩、確実にぬかるんだ地面を踏みしめて歩く彼は、僕の思っていた通り雨の降らない区域を目指していたらしく、その目の前で足を止める。
そして、訝しげにぽっかりと空いた雲のない空を見上げていた。その際、窓から様子を覗く僕と視線が合った。
クォートはパッと笑みを見せ、傘を持っていない方の手を大きく振る。……どうやら、手招きをして僕を呼んでいるみたい。
どうしよう? 雨の降らない区域のことで僕を呼んでいるのは間違いないだろうけれど、はたして行くべきか……?
馬鹿正直に母さんに言えばとめられるのは目に見えているけれど、その区域について気になることは事実なので……──母さんには悪いけれど、嘘をついて外に出よう。
僕は何も言わずに両腕を上げ、頭の上で大きな丸を作ってそっちに向かうことを伝えた。クォートはさらに笑顔を見せる、どうやら伝わったみたい。
問題は母さんだけれど……。
振り返って、未だ料理中の母さんに声をかける。
「母さん!たいへん!」
「え?」
「植木鉢が倒れているから、起こしてくるよ」
まくしたてるように言い、すぐさま玄関に向かって傘立てに置かれている自分の傘を持つ。
後ろから「起こしに行くのは雨がやんでからでも……」なんて声が聞こえたけれど、掻き消すように「すぐ戻るからー!」と大声で言い、外へと飛び出す。
そして、訝しげにぽっかりと空いた雲のない空を見上げていた。その際、窓から様子を覗く僕と視線が合った。
クォートはパッと笑みを見せ、傘を持っていない方の手を大きく振る。……どうやら、手招きをして僕を呼んでいるみたい。
どうしよう? 雨の降らない区域のことで僕を呼んでいるのは間違いないだろうけれど、はたして行くべきか……?
馬鹿正直に母さんに言えばとめられるのは目に見えているけれど、その区域について気になることは事実なので……──母さんには悪いけれど、嘘をついて外に出よう。
僕は何も言わずに両腕を上げ、頭の上で大きな丸を作ってそっちに向かうことを伝えた。クォートはさらに笑顔を見せる、どうやら伝わったみたい。
問題は母さんだけれど……。
振り返って、未だ料理中の母さんに声をかける。
「母さん!たいへん!」
「え?」
「植木鉢が倒れているから、起こしてくるよ」
まくしたてるように言い、すぐさま玄関に向かって傘立てに置かれている自分の傘を持つ。
後ろから「起こしに行くのは雨がやんでからでも……」なんて声が聞こえたけれど、掻き消すように「すぐ戻るからー!」と大声で言い、外へと飛び出す。