ディスオーダーⅡ【短編集】
「ぐぬ……仕方ない、気体は諦めるか」
ガックシと肩を落とすクォート。僕も気にはなるけれど、用意が出来ないものは出来ないのだから仕方ない。
しかし、次の瞬間、クォートはパッとした明るい笑顔を僕に向け、こう言い放った。
「レイン!お前が入れよ!」
「……はっ?」
クォートが何を言っているのか理解できず、素っ頓狂な声を出してしまう。
僕が? 入る? どこに?
……雨の降らない区域に?
「いやいやいや!今までのを見てきたでしょ? それなのに、入るわけがないじゃん」
実際に消える物体を次々と目の当たりにしてきて、誰が喜んでそんな危険な区域に入るというのか……。
けれど、クォートは聞く耳持たずといった様子で、しまいには僕の両肩を掴んで中に押し込もうとする。
「ちょっと、クォート!やめて!やめてってば!洒落にならないよ?!」
「いいから入れって!さすがに人間が消えるとかはないから大丈夫だって!」
「何を根拠に言ってるのさ?!」
押し込もうとするクォートと、抵抗する僕。必死に抵抗して、僕の身体に宿る力をすべて振り絞った。
「あっ……──」
まずい。と思った時には遅かった。
会心の力を振り絞った結果、僕はクォートは押し退けることに成功はしたけれど、クォートはそのまま後ろ向きに雨の降らない区域に入ってしまった。
「クォート!」
「レイン!おまえっ──」
クォートが僕に向かって叫んでいる途中、やっぱりミストのように消えていってしまった。
ガックシと肩を落とすクォート。僕も気にはなるけれど、用意が出来ないものは出来ないのだから仕方ない。
しかし、次の瞬間、クォートはパッとした明るい笑顔を僕に向け、こう言い放った。
「レイン!お前が入れよ!」
「……はっ?」
クォートが何を言っているのか理解できず、素っ頓狂な声を出してしまう。
僕が? 入る? どこに?
……雨の降らない区域に?
「いやいやいや!今までのを見てきたでしょ? それなのに、入るわけがないじゃん」
実際に消える物体を次々と目の当たりにしてきて、誰が喜んでそんな危険な区域に入るというのか……。
けれど、クォートは聞く耳持たずといった様子で、しまいには僕の両肩を掴んで中に押し込もうとする。
「ちょっと、クォート!やめて!やめてってば!洒落にならないよ?!」
「いいから入れって!さすがに人間が消えるとかはないから大丈夫だって!」
「何を根拠に言ってるのさ?!」
押し込もうとするクォートと、抵抗する僕。必死に抵抗して、僕の身体に宿る力をすべて振り絞った。
「あっ……──」
まずい。と思った時には遅かった。
会心の力を振り絞った結果、僕はクォートは押し退けることに成功はしたけれど、クォートはそのまま後ろ向きに雨の降らない区域に入ってしまった。
「クォート!」
「レイン!おまえっ──」
クォートが僕に向かって叫んでいる途中、やっぱりミストのように消えていってしまった。