without you
椅子からパッと立ち上がって、「こんにちは」と挨拶をする営業部の社員たちに、社長は「おーす」や「おはよー」と言いながら、持っていたお菓子をどんどん配っていく。
久遠社長自身がまだ37歳と、社長にしては若いからか、「A-spade」はもとより、社長が経営している他の会社の社員も、大体20代後半から40代前半と、比較的若い人ばかり集まっている。
だから社長は、普段から社員に対して、気さくな態度で接しているのだろう。
かと言って、一応社長(雇う側)と社員(雇われる側)という違いはあるので、そこの境界線はきちんと引かれていると思う。
でも、みんなの態度は、久遠純世さんのことを、社長として尊敬している表れに過ぎない。

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