without you
そのとき、「木戸ー」と私を呼ぶ声が聞こえた。
と思ったら、私の右横に、スッと影が出きた。

この声と、この体と影の大きさは・・・社長しかいない。

「はい」
「俺、まゆ子さんとのランチミーティングに行ってくる」
「え?もうそんな・・時間ですか」

給湯室には時計がないので、自分の腕時計で確認しようと左手首を見たけど・・・そう言えば腕時計は壊れてたんだと思い出した私は、またすぐに腕を下げて、視線を社長の方へ戻した。

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