without you
「りさちゃんはまた、料理の腕を上げたようです。他のテーブルのみなさんも、料理を堪能してくれているようですし。りさちゃんにお願いして正解でしたね」
「そうだな」
「社長?もしかして・・緊張していらっしゃるんですか?」

まさか、という顔を、わざと作って聞く私に、社長は「してねえっ!」と即答した。

「でもな、こう見えて俺は、意外と小心者なんだよ。おまえも知ってんだろ?」
「うーん、そうでしょうか・・・。それも説得力に欠けてます」
「おいっ。とにかく・・・。一つ、提案があるんだ」
「何でしょう」
「・・・木戸、おまえが俺を落札しろ」

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