without you
「なんだよ」
「いえ・・社長ってこういう場に慣れていると思っていたから。緊張するなんて意外だなと思って」
「だってよぉ。俺、自分を“出品”するのは初体験だし」
「出品って・・・競ったことはあるんですか」
「あるよ。だが物(アンティーク)だぞ。人バージョンは今夜が初めてだ」
「そうですか。とにかく、オークションをしようと言ったのも、オークションに参加すると言ったのも、社長ご自身ですから」
「分かってるよ。だから・・・」
「大丈夫。上手くいきます」

そう言いきった私に吸い寄せられるように、久遠社長が私の方を見た。
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