without you
お弁当を作り終えた私は、バスルームへ行き、顔を洗って、パジャマにしている部屋着を脱いだ。
そして、脚と腕についている合計4つの青あざに、ファンデーションをそっと乗せていく。

『木戸!?これ・・・。おまえ、彼氏から暴力ふるわれてんのか。だから夏場でも長袖ブラウス着てるのか?これ隠すために』
『は・・・あっ、いえっ!私・・・護身術を習ってるんです。それで』
『こんなところに痣、か』
『はい。それに私、彼氏なんていませんから。そろそろ手を離してください』
『あぁごめん!痛かったよな?』
『いえ。痣の見た目は派手だから、痛そうに見えるけど。痛くないです』

でも、私を気遣う優しい社長の眼差しに、私の胸は勝手にドキドキしてしまって。
社長の顔をまともに見ることができなかった。

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