without you
「どうした木戸。ボーっとしてるぞ」
「・・・“A-spade”、売らないんですか」
「売らねえよ」
「ホントに・・・?」
「あぁホントだ。“A-spade”を俺の仕事拠点にするのは、これまでどおり。変える気はない。上手くいってることを変える必要はねえし。めんどくせーだろ?」
「そう、ですか・・・。でも、社長の仕事量は減るから、私の仕事量も減るんですよね。それに、仕事量が減れば、社長はご自分でスケジュールの管理ができる。だから・・・」
「確かに、俺の仕事量は減るだろう。だが、おまえは知っている」
「何をですか」
「俺がどんな仕事が好きで、どんなジャンルが得意か、おまえはこの4年で・・・・・・握ってる」
「把握してる、ですね」
「そう!“把握”だ!」

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