without you
「つまり、遅かったということだな。いや、それとも俺が早すぎたのか」
「どちらでもいいですから、今すぐ着替えてきてください」
「分かったぞ!これは、この新しいシャツを、今着ろってことだよ!ちょーど良かったなぁ」
「・・・実は着たいんですか」
「着たい」
「・・・じゃあ、アイロンかけます」
「マジ!?ありがとなっ、あみか!」

あくまでも物事を良い方に捉える楽観主義な社長は、私から奪うように取った箱2つを軽々と抱え持ったまま、社長部屋の方へスタスタ歩き出した。
そんな社長の大きな後姿に向かって、私は密かにため息をつくと、社長について歩いた。


< 31 / 636 >

この作品をシェア

pagetop