without you

すでにフグを含めたオーダー料理は９割方平らげていたが、まだ食べてなかった、メインとも言えるフグ鍋は、明日の夕方うちに届けると女将が言ってくれた。
この料亭は家族でよく利用していることもあって、女将や大将とは顔なじみだ。
だから気軽にそういうサービスをしてくれるんだろう。ありがたい。

「明日の夕飯に、彼女さんと召し上がってちょうだい」
「そうします」と答えたとき、俺はガールフレンドのトモちゃんと一緒に、フグ鍋を食べるんだと思っていた。

それが当然の成り行きだと、俺は信じて疑わなかった。