without you
料亭の中と外の温度差は、眠っていても感じるだろう。
しかも今は2月で、日本は冬まっさかりだ。
運転手の江上に頼んで持ってきてもらった毛布に木戸を包んで抱いているが、やはり外気の寒さを感じたのか、俺が数歩歩いていると、木戸は「う~ん」と唸って目を開けた。

「やっぱ寒いんだろ。ごめんな」
「・・・かおがさむい・・・」

ゴニョゴニョ木戸は言うと、顔を俺の胸に埋めるように、ますますくっついてきて、またすぐ眠った。
こいつを落とさずに済むという点では、くっついてくれた方が俺も好都合なんだが・・・車に乗せる時、少しだけ手間取った。

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