without you
「それから、と・・・あぁ?“しししんちゅう”?んなもん知るかってんだ!おまえ、知ってたか?」
「はい?何ですか」
「これだ!」と久遠社長は言って、問題集のとある箇所を指さした。

「へぇ。これで“獅子身中”、ですか・・・。じゃあ○○の中には、“獅子”が入るんですね」
「そーいうこと」
「確かに難しいですよ、これは」
「だよなぁ?俺は絶対、うちの入社試験にこんなの出さねえぞ!いままでも、これからも!」

吠えるように宣言した久遠社長を見た私は、こらえきれなくなって、ついにクスッと笑ってしまった。
そんな私を見た久遠社長は、一瞬だけボーッとしたような、そんな表情をして。
すぐに、社長の言うところの「ニッコリスマイル顔」になった。
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