without you
「・・・そうなんです。久遠はすでに予定が埋まっておりまして。ですので夏ではなく、冬の時季に合わせて再検討をするという方向で・・・はい・・・・・・あぁそうですね」と、私が電話で話をしているとき、久遠社長と宮崎社長が仲良く話しながら、社長室へ来た。

私は受話器を当てたまま、スッと椅子から立ち上がると、宮崎社長に「いらっしゃいませ」と言う代わりに目礼をし、宮崎社長はいつものようにニコニコ笑顔で、私に右手を上げて挨拶をしてくれた。

そして座った私は、「はい、分かりました。ではメールをお待ちしております。わざわざお電話してくださって、どうもありがとうございました」と言い終えると、また椅子から立ち上がって、社長たちの方へと歩いて行った。

・・・もう午後2時か。
時間が経つのは早い。
社長がいる時は特に。

「失礼します。いらっしゃいませ、宮崎社長」
「こんちわ~木戸さん。はいこれ。社員のみなさんに」
「いつもありがとうございます。コーヒー、淹れてきます」と私が言うと、社長二人、そろって「ありがと」と言った。

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