without you
「・・・まあ、いいや。ここには私以外、誰もいないし、誰も来ないんだし。ね?」とミス・ヘッジホッグに問いかけても、ダイニングテーブルに、ちょこんと乗ってる“彼女”は、もちろん答えない。
・・・それより私、ぬいぐるみにしゃべってるし。
ついにここまで・・・。

私はハァとため息をつくと、緊急事態グッズを入れた黒いボストンバッグから、白い封筒を取り出した。

やっぱり。
バッグの中に一度入れたきり、出し入れはしてないけど、ほぼ毎日バッグを持ち歩いているからか、封筒はヨレ気味だ。
かなり前に書いたと、すぐ分かるような退職届を出すのは、気が引ける。

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