without you
退職届を社長の机に置いて、ここを出よう。今すぐ。
今なら社長はいないから。
卑怯だと分かってるけど・・・。
でも、「俺のことをもっと信頼してくれ」と言ってくれたあのときの、とても悲しそうな社長の顔を思い出すと、どうしても躊躇してしまう。

もしかしたら社長は、私が「A-spade」を辞めると気づいている・・・?
まさか。
いくら先見の明がある久遠社長でも、そこまで先を見通してないはず。

もう迷ってる時間はない。

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