without you
私は、パソコンをシャットダウンして、椅子から立ち上がった。
そして、退職届が入った白い封筒を、ズボンのポケットから取り出すと、それを久遠社長の机に・・・置いた。
そっと、静かに。

・・・これでいい。
今すぐここを出ること。
そしてもう、二度とここには戻らないこと。
これが、久遠社長と、「A-spade」のみなさん、そして私、全員にとって、最善の方法なんだ。
未練は、泣きたいくらいたくさんある。
でも、みなさんを、久遠社長を、これ以上巻き込まないために。
これ以上、愛しているあの人のことを、頼らないために。

愛しているから、これ以上頼ってはいけない。
でも。
今まで一緒に仕事をしてきた5年2ヶ月の、楽しかった思い出には、時々頼っても・・・いいですか。

< 490 / 636 >

この作品をシェア

pagetop