without you
・・・本当は、“社長が”ガッカリするんじゃなくて・・・“私が”ガッカリするんでしょう?
久遠社長と一緒に過ごした楽しい思い出が、もっと・・・欲しいから。

「そうよ」って、素直に認める。
でも、認めたところで、あいつに居場所を突き止められたこと、ここを出なきゃいけないという現実は、変わらないんだから。
それに、久遠社長には、恋愛対象として「好き」と思う女性がいるんだし。
私と一緒に晩ごはんを食べに行くことに、何時間も費やすべきじゃないでしょう?

たまらずにギュッと握りしめてしまった手を、私は慌てて緩めた。
あぁ、退職届が・・・。

「あみか」
「わっ!」

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