without you
『みかちゃん 今度は俺と一緒に食事に行こう。 治』

・・・あいつの字、だ・・・。
会社を出たときから、車に乗るまで、警戒して見ていたのに。
誰にもつけられてないと思ってたのに・・・。
つけられてた。あいつに・・・!

久遠社長が危ない!!

私は、ボストンバッグを再び手に持つと、カードと“プレゼント”のアレンジ花をそこに置いたまま、ダッと外へ駆け出した。
「あぁ木戸さーんっ!」と呼ぶ皆川さんの声が聞こえる。
だけど、今は荷物を置きっぱなしのことより、とても・・・とても大事なことがある。

「すいません!」と叫んだとき、すでに私は外に出ていた。

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