without you

思い至ったその考えは、体の内側全てに、すごい衝撃を受けたような感覚で。
私は、思わず社長から目を反らして、前を見た。

・・・いいや、もしかしたら、それって私の激しい勘違いかもしれない。
だけど・・・もし、それがホントなら・・・ううん、本当じゃなくても。
私は、あなたのことをもっと、もっと信頼したい。

前を見ていた私は、そのまま右手だけをそっと隣―――久遠社長が座っている右側―――に動かしてみた。
意気地がない私の右手は震えている。
それでも、久遠社長は、自分の左手で、そっと握ってくれた。

彼は、私の信頼に、応えてくれた。