without you
「あの。妹は、さくらは・・・」
「・・・残念ながら、まだ居場所は分からない。おまえが教えてくれた電話番号は使われてなかった。今メンバーが住所に向かってるが、恐らくそこは引き払ってるだろう。妹がまだ看護師(ナース)をしてるなら、早く見つけ出せるんだがな。もう少し時間をくれ。ごめんな、あみか」
「いえっ」と私は言いながら、何度も顔を左右にふった。

「社長が謝ることじゃない、です。むしろ私が・・・私のせいで、さくらは・・・」
「なあ、あみか。聞かせてくれないか。なぜおまえがあの野郎につけ回される羽目になったのか」

・・・そうだ。
少なくともこの人は、ここまで私のために力を尽くしてくれてるんだから。知る権利がある。
意を決した私は、前を見たまま話し始めた。

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