without you
「突然、ソーシャルメディアから存在を消された私は、同時に料理研究家としてのキャリアも失いました。私にとっては突然奪われたショックが、日を追う毎にだんだん大きくなって・・・。仕事を続ける気力を失くした私は、一旦、横浜の実家に帰りました。でも、まだ終わってなかったんです。あいつの仕打ちは」
「どういうことだ」
「実家に帰ったとき、実家の近くに住んでいる妹のところにも行って・・・知ってしまいました。妹が・・さくらが、あいつとつき合ってるって」

それを聞いた久遠社長は、小さく唸り声を上げると、ブツブツ呟いた。
私には分からない外国語を選んだということは、社長は私に聞かせたくない悪態でもついてたのかもしれない。

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