without you
「私は、さくらに言いました。吉見に騙されてる。だからつき合うなって。あいつが私にした仕打ちも言いました。あいつがやったという証拠はなかったけど、確信はあったから。そしたらさくらは・・・妹は言ったんです。“そのことなら知ってるよ”って。妹は、私とあいつが一時期つき合ってたことを、あいつから聞いたんです。あいつは、自分から私に別れを切り出した、でも私がなかなか諦めきれていないと、妹に嘘を吹き込んでました」

『吉見さん言ってたよ。“君のお姉さんは、俺の仕事の妨害までしてくるようになった。せっかく、お互い良い思い出だけをお互いに残し合って別れたのにさ。困ってるんだ”って』
『な・・・何言って・・・それは違う!全部嘘よ!困ってるのは私の方なの!ねえさくら。お願いだから、あの男とつき合うのだけはやめなさい。そして二度と関わっちゃダメ。今ならまだ間に合う・・・なんで笑うの』
『だって。吉見さんが言ったとおりのことを、お姉ちゃん言ってんだもん。お姉ちゃんは絶対、私たちのことを反対するって。ねえお姉ちゃん。そうまでして吉見さんとヨリを戻したいの?』
『そんなわけないでしょう!逆に私は、二度とあいつと関わり合いたくないのよ。さくらとつき合うことにしたのも、私をもっと陥れようとする罠に違いない・・・』

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